正しさの見え方
NEW ALBUM「逆さまの朝日」リリース企画 ”正しさの見え方”
が無事先日完結しました。
アルバムをリリースに伴い3ヶ月間連続で、仙台東口にあるライブハウス仙台FLYING SONでライブをしました。
この企画をする前、してる最中、そして終わった今、
何となく自分の中で考えていたこと、思っていたことを残そうと思います。
※2023年7月30日のライブ写真
声がうまく出せない
違和感を覚えたのは世間がコロナで騒がしくなる頃でした。
バンド「schadenfreude」として活動してる中、メンバーの脱退やコロナによる生活の変化が沢山あり、今思うと精神的にも、肉体的にもかなり疲弊していたのだと思います。
今まですんなり出ていた音が出なくなったり、今までは何ともなかったライブの30分間で声がもたなくなったり、自分の歌はこれだったかな?という違和感が少しずつ出てきました。
その時の喉の不調の原因はストレスによる逆流性食道炎だと診断されました。
胃酸が喉まで上がってくることにより、喉がただれてしまっていたそうです。
しかし、逆流性食道炎が治ってきても、喉の不調は変わりませんでした。
不調の原因は自分の練習不足だと言い聞かせ、活動を続けます。
その時にはコロナも徐々に落ち着き、「schaden.」と改名して今の体制となりました。
何とか誤魔化しながらライブをこなしていきましたが、達成感は一切なし。
むしろ、やればやるほどステージに立つのが怖くなっていきました。
「どうか今日は声が出ますように」そんな賭けみたいな思いでステージに立つことにも嫌気がさします。
それでも、自分が今ここで活動を辞めてしまっても自分には何も残らない。
何も達成していない。悔しい。だからやるしかない。
そんな気持ちと、単純に新体制で動くには音源を出して沢山の人に聞いてもらわなければいけないという思いから、CDのリリースを計画します。
それが今回行った3ヶ月連続企画です。
努力不足という呪文
リリースが決まってからはレコーディングが始まりました。
12曲を期限以内に仕上げなければならなかったのでスケジュールはギリギリでした。
やはりレコーディングの最中も喉の不調は変わりません。
1日のレコーディングで歌えるのは多くて6テイク。その中で使えるテイクはほんの2、3テイクだったりします。
ボイストレーニングにも通い、いろんな先生のもとへ行きましたが、変わらず。
病院で診てもらっても特に問題はないと言われます。
正直、これ以上何をどう頑張ればいい?
そんな気持ちでした。
でもそうは言ってられません。リリース企画は動き出し、リリース日に向けて音源の制作、ライブのリハーサルをこなさなければいけません。
頑張るしかないんだ。まだ頑張れてないんだ。頑張れるはずだ。
そうやって、何とか自分たちの作品を作り上げるんだという気持ちで日々を消化していきました。
始まった企画、越えられない壁
5月19日金曜日、企画の初日。
2人の優しい歌声に、ご来場いただいた皆さんは癒されたことと思います。
そして1つ目、逆さまの朝日「DULL」が配信でリリースされました。
ありがたいことに沢山の人が見にきていただき、本当に感謝しています。改めてありがとうございます。
この日はこの日の最善を出しました。
それに心惹かれてくれた人もいると思います。
ただ、ライブが終わった私の中には、こんなんじゃないはずだという気持ちと、
またいつものような、達成感のないどこか気持ち悪い、どこか居心地の悪いそんな気持ちでいっぱいでした。
この気持ちで、残りの2ヶ月も「こなす」のか、それが本当に「最善」なのか。
今後と、私の音楽への向き合い方を考え直すきっかけとなるライブでした。
そこからすぐに、東京の病院に喉を診てもらうことになりました。
救われて、変わった視界
6月30日金曜日、企画2日目。
地底人もFRISTも全然色は違いますが、どちらもいい方たちで、終始幸せでした。
そして2つ目、逆さまの朝日「CHILL」が配信でリリースされました。
この日はステージに立つことにいつものような不安はありませんでした。
喉の原因が分かったからです。
東京の病院の先生が見つけてくれました。
すぐには治せないので、40分間声帯を維持できる魔法の薬を処方してもらい、ライブに挑みました。
こんなに不安も恐怖もなく、ただ純粋にライブをしたのはいつぶりだっただろうかとすごくすごく感動しました。
歌に集中できる、言葉に音がのる。聴いてくれる人の顔を、目を真っ直ぐ見れる。
まだ、歌えるんだと純粋に嬉しくなりました。
泣きたくなるほど、嬉しい夜でした。
続けたから見えたもの
7月30日日曜日、企画最後の日。
この日はカリカヌル女子子とのツーマンライブでした。
記憶がある人は何度目なんだいと思っているかもしれません。でも最後はやっぱり彼らしか思い浮かびませんでした。
やっぱり彼らは見るたびに強くなっている。
負けていられないという気持ちを呼び覚ましてくれる最高の存在です。
そして、全てを合わせた1枚「逆さまの朝日」をCDでリリースしました。
この日はschaden.バンド編成で挑みました。
バンドなんて一生やらないって思ってたのが嘘のように楽しかったです。
「ん」のDr.えんどうのりとしくん、FRISTのBa.おおくぼさん、Gt.のコバケンくんこのメンバーのおかげです。
そして爪楊枝地獄くんがMCで「音楽やめんなよ、バンドマン」なんて言ってくれました。
やめなくてよかった、続けててよかった、頑張ってよかった、まだ頑張れる、そう思った夜でした。
負の感情と戦い続けること
少しの不安で足踏みをして、進んでるつもりでもどこか進んでないような、そんな日々を過ごしていました。
幾度となくそんな夜は過ごしてきたけれど、こんなに長い夜は初めてかも知れません。
明けない夜はないと人は簡単に言うけれど、いつ明けるのか分からない日々は怖くて、孤独です。
そんな中でも差し込んだ光を認識できるようになったのは、怖くても怖いなりに何かをし続けたこと、そして周りの人が見守っていてくれていること。私が歌い続ける限り、聴いてくれる人がいること。
夜が来ないことはこの先もないと思うけど、その度にやめなくてよかったと思えるのなら、何度だって沈む夕日を眺めて、必ず朝日を見てやろうと思えました。
5月の時に見えていた景色と7月に見えた景色がこんなに大きく変わるとは思ってなかった3ヶ月でした。今まで1歩も動けなかった場所からやっと1歩踏み出せたような気がしています。
出演してくれた皆さんと、見にきてくれた皆さんと、リリースに関わってくれた皆さん、
そして大好きな仙台FLYING SONのおかげです。
ライブハウスでまた歌います。
イベントに来てくださった皆様、いつも応援してくれている皆様、リリースに関わってくれた全ての皆様、本当にありがとうございました。
どうか皆さんの明けない夜が、不安な夜が、孤独な夜が少しでも怖くないと思えますように。
私なりの精一杯のポジティブを詰め込んだ作品です。
「逆さまの朝日」ぜひ聴いてください。
※現在CDの購入はライブのみとなっております。後日通販サイトの方に載せる予定です。配信の方で全曲聴けますのでリンクよりご視聴ください。